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なぜ労災上乗せ保険に入るべきなの?

労災上乗せ保険という損害保険会社の保険があります。
読んで字のごとく業務災害があった際に国の労災保険にさらに上乗せして保険が支払われるというものです。
今回はこの労災上乗せ保険について取り上げます。

そもそもなぜこの労災上乗せ保険が必要なのでしょうか。国の労災保険に入っているのにさらにその上乗せって必要なのか疑問ですよね。
保険会社のパンフレットを見てもこういった場合に保険が出ますなどは書かれていますがその必要性がいまいちピンと来ない人も多いのではないでしょうか。
まず法律から見ていきましょう。

労働3法の一つ、労働基準法は戦後間もない昭和22年9月1日に施行され、立場の弱い労働者を守るために最低限の労働条件を定めた法律です。
この労働基準法の75条~84条に災害補償規定として労働者の業務上の負傷や疾病による治療費や休業補償、障害補償、死亡補償など費用を使用者が支払わなければならないと書かれています。つまり仕事が原因でケガをしたら雇い主がお金を出しなさいとなっている訳です。例えば死亡補償は平均賃金の1,000日分となっています。平均賃金は過去3ケ月の賃金総額を暦の日数で割るのですが、ここでは仮に1万5千円とした場合1,500万円を労働者に支払いなさいとなります。

事故は突然起こります。法律に書かれているからって1,500万円すぐに支払えって言ったって用意できませんという会社の方がほとんどではないでしょうか。
しかし死亡した労働者の遺族は何も受け取れないと困ってしまいます。そこで労働基準法の災害補償規定による支払いの資力確保という意味で労働者災害補償保険法、通称労災保険法が昭和22年、労働基準法と同時に施行されました。
労災保険法では労働基準法の災害補償をそっくりそのままカバーできる内容になっています。

労働基準法84条には「労働者災害補償保険法等に基づき、労働基準法で規定する災害補償に相当する給付がなされる場合には、使用者は、その補償の責任を免れる」とあり、労災保険に入っていれば会社はお金を出さなくてよいということになります。
労災保険は労働者が一人でもいれば加入は義務ですから仮に労働災害が起きても会社の支払いはないはずです。
じゃあやっぱり労災上乗せ保険いらないのではとなりますよね。

ここからが必要性になります。
労働基準法の規定、労災保険は無過失責任となります。会社に落ち度があろうがなかろうが仕事をしていてケガをした場合に支払われます。少し難しくいうと業務起因性、業務遂行性があれば会社の過失と無関係に支払いとなります。

一方で別の法律、民法には415条債務不履行責任というものがあります。これはいついつまでにお金を払うと約束したらきちんと払う、借りたものはきちんと返す、頼まれた仕事を期日までに終わらせる約束をしたらそれを守るといった「約束は守りましょう」といった条文です。
約束を守らないことで損害が生じたら賠償請求できちゃいます。会社は直接約束をしていなくても労働者を雇ったときは労働者の安全に配慮しなさいと別の法律で決まっています。労働契約法5条「安全配慮義務」や労働安全衛生法3条「職場での労働者の安全と健康を確保するための具体的措置」などです。事故が起こらないように会社は安全に全力を尽くさなければなりません。作業場所や作業の仕方や労働時間など事故が起こらない細心の注意を払わなければなりません。
しかし事故が起こってしまえば会社はきちんと安全に気を使っていなかったのではないかととられてしまいます。だってもし会社が安全に全力を尽くしていたならば事故は起きなかったでしょうから。
「会社には過失がありますね。では労災保険の支払いはありますが、債務不履行責任として会社の過失分を追加で請求させてもらいますよ」と遺族側の弁護士。
会社側は過失がなかったことを証明しなければなりませんがそれはなかなか難しい話です。

そして遺族側の請求額は労働基準法や労災保険とは別の計算式例えば自動車事故での死亡金額を使い、命の値段を計算して会社側に請求してきます。
例えば一家支柱の男性35歳で年収550万円の人であれば逸失利益(生きていれば将来稼げたであろう利益)と慰謝料などで9,000万円を超えてきます。全額認められなかったとしても労災保険では全く足りないので労災上乗せ保険が必要になってくるのです。
債務不履行責任以外でも民法709条の不法行為責任(故意又は過失によって他人の権利の侵害を発生させた場合)で訴えられることもあります。債務不履行と比べてより直接的な責任の場合になると思います。

労災上乗せ保険は通常2段構成になっています。
1段目が無過失責任の労災保険と似たような性格のもので仕事が原因で事故が起これば過失があろうがなかろうが出てくる死亡保険金や後遺障害保険金などの補償です。事故があった場合に、労災で出るからそれで全て終了という訳には現実問題いきません。会社からのお見舞い金としての誠意というものがどうしても必要になってきます。
そして2段目が使用者側に過失があるとの債務不履行責任を元にした賠償請求に対応する使用者賠償責任保険です。

この2つで労災上乗せ保険は構成されているので労災事故が起こってしまっても国の労災保険が出たうえでさらに保険でカバーでき、最悪会社がつぶれるような事態をさけることができるのです。

今回は労災上乗せ保険の必要性について書いてみました。

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